輸出の仕組みも全く理解せずに展示会に良く参加したものだと今では思います。2005年頃は、確か小泉首相が日本の農産品輸出目標3000億円と叫ばれていた時代だったと記憶しています。今や目標は1兆円を超え2030年5兆円が目標だそうです。まさに、輸出が錦の御旗のようです。ただ、海外には大きな市場があることは事実ですが決して輸出は簡単に行えるものではありません。しかし諦める必要もありません。時代とともに、より多くのチャンスを手に入る環境が整って来ました。
輸出の仕組みを確認してする
輸出の話をする前に大事なことは海外から注文が来ない限りいくら張り切っていても輸出実績はゼロです。では、その注文を取るために何をまずするべきでしょうか。私の考えは、まず日本の輸出商社か現地輸入代理店を見つけることが一番の優先事項だと思っています。
1)日本の輸出商社を利用して輸出を行う(間接貿易)
私が2005年に輸出を始めようと日本の輸出商社を訪問したことがありました。そこの営業部長さんが丁寧に対応をして下さいました。「どこに御社は輸出希望ですか?」「アメリカが売れていると聞いたのでアメリカでお願いします。」「で、商品は何を売りたいですか?」「純米酒が売れていると聞いたので純米酒でお願いします。」「分かりました、少々お待ち下さい。」と言われしばらく待っていると部長さんが巻物のようにすごい枚数の商品リストを持って来られ「今、ウチで扱っている商品は3000品目あります。ここに入って売るためには、よっぽど有名か一番安い納入価格かどちらかです。」と言われ「どうします?」と言われました。私は、即答で「御社での輸出は諦めます。」と言って帰りました。もし、あの時に部長さんが、「こんな状況ですぐには売れないですが、1ケースから地道にやりますか?」って言われていたら私は「お願いします。」と言っていたでしょう。今は、あの時の部長の言われた言葉に感謝しかありません。それから、困難な道に歩み出しましたが現在の明石酒類醸造は存在していないからです。
こう書くと、日本の輸出商社は魅力が無いのかと思われるかもしれませんが良い部分も多くあります。まず、全て日本語でやり取りが可能であることが一番のメリットです。日本で商談が出来ることもメリットです。さらに現地にすでに販売ルートがあること。日本円で決裁を行ってもらえること。(為替の変動リスクの回避)現地の売れ筋やニーズなどの情報を持っていること。長年の蓄積があるのでラベル表示なども指示を受ければ容易に作ることが可能です。また、輸出に必要な書類作成なども彼らに聞くことが可能です。デメリットもあります。取扱品目が多いため新規に商品を採用してもらっても既存商品に隠れてしまうことです。後、日本食レストランや日本人シェフのお店が客先のことが多くローカルへの拡がりが少ない傾向を感じます。ただ品揃えが豊富とも言え現地顧客から支持を得ることが出来れば益々売上増を期待出来ると思います。
2)海外の輸入代理店と直接取引を行う(直貿)
現地輸入代理店と直接貿易を始めることが出来ると現地ローカルマーケットへの道が容易に開くチャンスを手に入れることが出来ます。ただ、デメリットも満載です。日本語が通じませんので英語は必須です。ウチの社員は私を含めGoogle先生の翻訳に頼っています。次に支払いです。現地通貨なのか円なのか。発注単位は?確認事項も満載です。しかし、日本商社の手が届かない現地市場に商品を届けることが可能になります。私の会社は、実際長い期間ブルーオーシャンにいました。昔、初めて直貿の契約を結んだ会社が倒産し600万円が焦げ付きました。数年後、10万円が振り込まれましたが。今、私の会社は全て直貿で輸出をしています。どれだけ、どこで売れているかも分かりますし現地の要望も直接届くので新商品の開発もスムーズに行うことが出来ます。本当に信頼出来る輸入代理店を獲得出来れば、彼らのネットワークを利用し紹介してもらえば、まず間違いない新しい輸入代理店を獲得することが出来ます。
結局、間接貿易が良いのか直接貿易が良いのか
まず、初期は間接貿易で始めてノウハウの蓄積に努めるのが無難だと思います。直接貿易の相手との出会いは運とスピードです。現実にはどちらが良いか決めるのは、あなたしかいません。社員に任せる海外進出はあり得ません。海外は、すぐに決めることを求められることを忘れないで下さい。それぞれの詳しいお話は今後させて頂きます。